『天穂のサクナヒメ』楽曲解説、第3回のテーマはドタバタシーンの曲「騒 ―さわぎ―」です。
御柱都に迷い込んできた人間達を追いかけて走り回るサクナ、そして爆発オチ――。酒や油が置いてある貯蔵庫にかがり火を置くなとツッコミたくなるシーンです(笑)
ここまでの2曲が調性のはっきりとしないぼんやりとした曲だったのに対し、これ以上ないほどはっきりとしたこの曲がいきなり流れるので、その落差に意表を突かれた方も多かったのではないでしょうか。
サクナは喜怒哀楽がはっきりとしたキャラなので、こういったギャグ系BGMも思いっきりはじけたいと考え、あえてダサく感じるほどオーバーに作りました。
アップテンポで裏打ちの陽気なスカのリズムに乗せて、ブラスや笛、琴がひょうきんなメロディを奏で、マリンバのコロコロとした音色で子供達が走り回る様子をイメージするなど、全体的にわちゃわちゃとした曲になるようにしました。
雰囲気の参考にしたのはドリフのコントのオチに使われる「盆回し」のテーマです。
��私よりも下の年代の人にこの説明で通じるんでしょうか……)
じっくり聞くタイプの曲ではないので気がついた方は少ないと思いますが、ループする直前のパートで村の夏の曲のフレーズが一部入っています。明るいイメージが共通しているので取り入れてみましたが、これに気づかれた方は相当聞きこんでいますね。
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なお、私がタイトルをつけた曲はすべて「漢字一文字 ―読みがな三文字―」で共通しています。主人公がサクナなので音数を合わせたということもありますが、フォーマットがそろっていた方が見栄えが良いと思い、主題歌以外は統一しました。
こんなはっちゃけたBGMを作った一方で、個人アルバムでは暗く深い世界観を作ろうとしていて、本当に一人で作っているのかと疑われるかもしれませんが、まぎれもなく一人で作っていますので、そのギャップも含めて大嶋啓之を知っていただけると嬉しいです。
次回はワールドマップの曲「標 ―しるべ―」を紹介します。