2020年11月15日日曜日

天穂のサクナヒメ楽曲解説 第2回「祓 ―はらえ―」

前回から始まった『天穂のサクナヒメ』楽曲解説連載。第2回で取り上げる曲はサクナたち神様が住まう御柱都の曲「祓 ―はらえ―」です。


カムヒツキを中心に多様な神様が集う荘厳で巨大な神殿ということで、音楽イメージもまさに神社で流れる雅楽を基調としたものになっています。

朧 ―おぼろ―」にも登場したが和声を奏で、メロディは篳篥(ひちりき)竜笛(りゅうてき)が奏でています。
ちなみに雅楽の世界では、笙は天の光、篳篥は人の声、竜笛は天と地を行き来する龍の声を表し、三者で天・地・空、すなわち宇宙を表しているそうです。奥が深いですね。

それらの楽器に加えて琴、太鼓、金物などの音色を重ね、雅楽の管弦風の編成にしましたが、そこにさらにピアノを加えた点が自分の個性を出した部分であり、ゲームBGMを意識してキャッチーにしたところでもあります。
曲の出だしは厳粛に雅楽調で始まるものの、中盤でピアノのアルペジオが入ってくるとオリエンタルなファンタジー色が出てきて、篳篥と竜笛が鳴り止んだ展開部ではセブンスコードと転調を駆使して曲の雰囲気を変えています。
その部分のMIDIデータがこちら。

02_harae.mid

特にポイントは5小節目のEm9のコードですね。拍頭でメロディがナインスの音を奏でているとハッとする効果があり、アクセントとして展開部を引き締めています。

こういった雅楽風イージーリスニングがお好みの方は、公開楽曲から「千年の庭」も聴いてみてください。20年前の曲なので現在ほど音色は豪華ではありませんが、エッセンスは今に通じるものがあります。

次回はドタバタコメディの曲「騒 ―さわぎ―」を紹介します。