『天穂のサクナヒメ』楽曲解説、第35回のテーマは安らぎのイベントシーンの曲「和 ―なごみ―」です。
エンディングで歌に入る前のシーンにも使われていますが、ゲーム中のイベントシーンでも何度か流れるなど汎用性のある曲です。
特に印象に残っているのは上の画像で、ココロワの「話は聞かせてもらいましたわ!」のシーンです。ここに限らずゲーム後半のココロワはいきいきとしていて、良い味を出していますね(笑)
曲としてはひとつのイベントをクリアした後で、厄介ごとが片付いてめでたしめでたしという場面に応じて作ったもので、ゆったりのんびりとして気持ちが安らぐようなイメージを大事にしました。BPMはかなり遅めに設定し、12/8拍子で優雅な感じも加えています。
編成はエレピ・ギター・ベース・パーカッションで伴奏を固め、琴と胡弓、フルートとフィドルという変わった編成でメロディを奏でます。バックにストリングスを白玉で流して全体を調和させています。
実は和風の要素は結構少なく、楽器編成や12/8拍子など洋風の印象がある曲です。これまでにも何度か自分の指向でアイリッシュ楽器などを取り入れてきましたが、この曲もその方向性の線上にある曲と言えます。和楽器ばかりでは同じような印象になりかねないのと、「愁 ―うれい―」や「縁 ―えにし―」などのようにゆったりとした曲は他にもあるので、意識して変化をつけています。
メロディは和風ともアイリッシュともとれる五音音階にしてノスタルジックな印象を出し、A-B-A構成のBメロに当たる展開部では田植唄の第二主題を崩したメロディを用いています。
41_nagomi.mid
ギター音源は打ち込み方が他と違うのでMIDIではカットしていますが、それ以外は特殊な音色は使っていないので再現性は高いですね。
この連載も次回で完結しますが、MIDIを公開するなんてこと自体がものすごく久しぶりでした。一定の需要はあったようで良かったです。
特に、作曲をされている方に何らかの形で役に立つ部分があったなら嬉しいですね。
というわけで次回はついに最終回!メインテーマでありエンディング曲の「ヤナト田植唄・巫 ―かみなぎ―」を紹介します。