『天穂のサクナヒメ』楽曲解説、第5回のテーマは土のダンジョンの曲「颪 ―おろし―」です。
龍の抜け穴や万牙洞など、島の中心付近に位置し序盤に踏破するダンジョンで流れる曲です。
『天穂のサクナヒメ』は他に類を見ない稲作ゲームとして話題を呼んでいますが、基本としてアクションゲームの楽しさや爽快感が土台にあって、音楽面からもそこをしっかりと押さえていかなければいけません。
しかもその最初のステージであり今後の展開に期待を持たせるためにも、「つかみ」としてインパクトがあり、和風のイメージを印象付け、かつゲームBGMとして耳なじみが良く、聴きやすい曲が求められました。
第1回でも触れましたが、この曲はメインテーマの田植え唄の次に作った曲であり、いわばアクションシーンのメインテーマとも言えます。
田植え唄と違ってこの曲から他の曲へフレーズをアレンジしたりはしていませんが、この曲に見られる「和楽器(尺八・笛・三味線・琴・太鼓など)+4リズム(ドラムス・ベース・ギター・キーボード)」という編成は、この曲が基準となってこれ以降のアクションシーンの曲に広がっていきました。
特にここでキーボードにオルガンを使った点がロック色を強め、後の火のダンジョンやボス戦に影響を与えていくことになります。
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爽快で小気味良いアクションを楽しんでほしいという思いから、シロフォンで軽快なリズムを刻み、2拍目のスネアが16分音符前につっこんでいるドラムパターンで前乗りのグルーブ感を出し、三味線でシンコペーションのメロディを乗せていきました。
ところどころにブルーノート(この曲ではE♭の音)を加えることでちょいワル感を出し、単に爽快なだけでなく一歩間違えばやられる危険性もあるぞ、という印象を匂わせています。
三味線のメロディをポップスで言うAメロとして、尺八や笛がメロディを取るBメロ、お囃子のような笛が印象的なサビへと展開していきます。
今回はちょっと長めにMIDIデータに起こしてみました。ギターが入っていないのでやや寂しいですが、参考になる部分があれば幸いです。
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プレイ中は何度もループするので、飽きにくいようにと力を入れて聴きどころを多く作りましたが、ひとつ挙げるとするならベースラインでしょうか。
ベース音源はTrilianを使っています。よりグルーブ感がわかるようにドラムと合わせて、上記のMIDIのベースをTrilianで鳴らすとこんな感じになります。
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次回は序盤の村の曲「荒 ―すさび―」を紹介します。