2020年12月10日木曜日

天穂のサクナヒメ楽曲解説 第11回「憩 ―いこい―」

天穂のサクナヒメ』楽曲解説、第11回のテーマは採取ポイントやのどかなシーンの曲「憩 ―いこい―」です。


ヒノエ島はどこへ行っても鬼が闊歩する危険な島ですが、中には敵が出現せず安全に採取を行える場所がいくつかあります。
うつろいの粉」がなかなか出てこず、地養の洞に通いつめた方にとっては聞き慣れたBGMかもしれませんね。

イベントシーンの曲は基本的にシナリオ進行中にしか流れませんが、この曲はステージBGMでもあるため、数少ないいつでも聞けるイベント曲となっています。
気の緩んだ他愛もない会話」「落ち着いた雰囲気」「縁側でお茶を飲みながら外で遊んでいる子供たちを眺めるような感じ」という指示を基に、自分なりにイメージをふくらませて作りました。

メインメロディを尺八・笛・琴の和楽器陣が演奏し、ギター・ストリングス・マリンバ・ファゴットが伴奏を務めます。ギターでのどかな雰囲気を、ストリングスのピチカートで軽快さを、マリンバやファゴットの丸みのある音色で温かみをそれぞれ表現しようとしました。
曲的には派手なところはないのですが、自分としてはコード進行がなかなかおしゃれに仕上がったのではと思います。今回はその流れを聞いてほしいので、長めにMIDIに起こしました。

11_ikoi.mid

冒頭からC→F/C→Gm/C→F/Cを2回繰り返したあと、3度上に転調して同じ進行を1回、その後Dm→Gと進みます。
尺八が入ってくるところからA♭△7→A♭→A♭m(add9)→A♭dimと進み、Gm7→Gm→Caug→Cと進んで、D♭△7→Dm7(-5)→Gsus4→Gaug→F/Gで冒頭に戻ります。

理論立てて完全に解説するのは難しく、興味のない方には記号の羅列になってしまって意味不明かもしれませんが、オーギュメントとかディミニッシュとか普段あまり使われないコードが隠し味的に入っているということを、曲を聞いて感覚的に感じ取ってもらえたら嬉しいです。


次回は春の村で流れる曲、昼の「萌 ―めばえ―」と夜の「桜 ―さくら―」をあわせて紹介します。