2021年1月3日日曜日

天穂のサクナヒメ楽曲解説 第18回「戯 ―おどけ―」

天穂のサクナヒメ』楽曲解説、第18回のテーマはとぼけたイベントシーンの曲、「戯 ―おどけ―」です。
全36回を予定しているこの連載も、ようやく折り返し地点まで来ました。連載の後半はゲーム本編でも中盤~終盤にかけての曲が多くなるため、これからゲームをプレイされる方は今後ネタバレにご注意ください。


会話がかみ合わなかったり、怪しい行動を取っているシーンで流れる曲です。特にきんた・ゆい・かいまるの子供組が登場するイベントでよく使われているイメージがありますね。

こういった曲調は指示がない限り作る機会がなく、自分の中の引き出しもあまりないのが正直なところです。強いて引っ張り出すとするなら、昔見ていたコント番組に影響されたところがあるかもしれません。
第3回の「騒 ―さわぎ―」のときもドリフ大爆笑のオチをイメージしたところがありますが、この曲もコントで多用されていた「ピンクパンサーのテーマ」の影響があります。やはりドリフは偉大だということですね。

怪しげかつ気だるげに、間が抜けているけれど少しはかっこよく……とイメージをふくらませていった結果、こういったジャジーな曲調に落ち着きました。

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エレピ・ベース・ドラム・パーカッションで土台を作り、クラリネット2本とバスクラリネットフリューゲルホルンといった丸みのある音色でとぼけた味わいを出し、三味線・太鼓・鉦といった楽器で和風の要素を加えました。
この曲では特にパーカッションが目立っています。三味線のひょうきんなメロディの隙間で、太鼓ホイッスルギロクイーカなどのラテンパーカッションもコントの効果音のように鳴っています。
怪しい企みをして抜き足差し足で歩いているのに、何か物音が聞こえるたびにびくっとして立ち止まってしまう……。そんなシーンをイメージして作りましたが、伝わっているでしょうか。

展開部ではドラムとベースがジャズ色を強め、クラリネットがブルージーなメロディを奏でます。企みごとがバレたあとの開き直りというか、やさぐれた感じを出しつつ、おいしい決め所はしっかり持っていきます。そして曲は冒頭に戻り、反省することもなくまたいたずらを考え……と際限なく続いていくわけです。


次回は秋の村で流れる曲、昼の「稔 ―みのり―」と夜の「芒 ―すすき―」をあわせて紹介します。