2021年1月13日水曜日

天穂のサクナヒメ楽曲解説 第21回「愁 ―うれい―」

天穂のサクナヒメ』楽曲解説、第21回のテーマは郷愁を感じさせるイベントシーンの曲、「愁 ―うれい―」です。


楽曲解説記事も後半に差し掛かっていますが、この曲自体はオープニングのココロワと別れるシーンで流れていて、実はかなり早いタイミングで聞くことができます。
しかしこの曲が一番印象的に使われるのは、やはりこのスクリーンショットに撮った田右衛門の独白シーンではないでしょうか。月明かりに照らされる情景も美しく、とても印象に残る場面です。
この「愁 ―うれい―」は、そういった切ないシーンのための音楽として制作しました。

開発側からの指示は「過去語りやモノローグなど。遠い故郷を切なく想う。悲しいことも多かったけど切り離すことのできない、今の自分のルーツ」というものでした。
ギャグシーンのBGMなどは自分の中の引き出しが少なくて難航しましたが、逆にこういった曲調はわりと作りやすく、楽器編成・メロディ・曲構成とあまり悩むことなくすんなりと出来上がりました。

ピアノストリングスのゆったりとした伴奏を背景に、がオリエンタルなメロディを奏でます。和風ファンタジーの王道とも言えるような編成と展開で、聞いていて心が落ち着けるような美しい曲にしたいと思いました。薄くっぽい音色を入れたり、太鼓で田楽を意識したりと、細かいところでサクナ的な要素を入れています。

Aメロ-Bメロ-サビと展開していきますが、Aメロとサビでコード進行は異なるものの、琴は同じ形のフレーズを演奏しています。「周囲の環境は変わっても心の中のイメージは変わらない」という意味合いも含んでいます。
コード進行は一見シンプルで、サビもC→D→Emのように聞こえますが、実際にはC6add9Dadd9のようにテンションコードをぶつけています。調性のはっきりとしない曖昧な雰囲気が、日本的な美意識に合致するのではないかと思いました。

また、サビの中に一瞬だけ田植え唄の第一主題が入っています。たった2小節だけですが、これに気づいた方はよく聞き込んでくださっていますね。

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次回は金のダンジョン曲「戦 ―いくさ―」を紹介します。