2021年4月18日日曜日

【奏】参加アーティストインタビュー 第2回:太田豊

天穂のサクナヒメ 実演楽曲集 奏 ―かなで―』、メールインタビューの第2回は雅楽演奏家・太田豊さんです。



太田さんに参加していただくことになった経緯については以前の記事にまとめていますので、合わせてご覧ください。
曲目を見ていただくとわかるとおり、太田さんに演奏いただいた「朧 ―おぼろ―」と「祓 ―はらえ―」はアルバムの1、2曲目として収録しています。この曲順はゲームで最初に流れる順番であり、PS4・PCのデジタルサウンドトラックの収録順とも同様です。
※今後発売予定のオリジナルサウンドトラックも同じだと思われます。

「朧 ―おぼろ―」の方は2分弱の短い曲ですが、ミステリアスな原曲の雰囲気が雅楽の生演奏によってさらに増幅され、アルバムを再生した途端に異世界に引き込まれていくような没入感があります。
それを受けて次の「祓 ―はらえ―」は神々しいの音色から始まり、雅楽らしい優雅な演奏で原曲の世界観を見事に昇華させてくださいました。原曲に入っていたピアノも加わるなど、雅楽の枠にとらわれない自由さもあり、聞き応えのある曲となっています。

中でも太田さんの演奏で特徴的なのが「おりん」です。仏壇にお線香を上げるときに鳴らす金属製のお椀で、誰しも見たことはあると思いますが、それを楽器として使い、さらに雅楽とも取り合わせるという発想は、太田さんならではの独創的な音楽だと思います。


ホームページWORKSには、おりんを使った北陸新幹線・新高岡駅発車メロディーも掲載されています。私自身、昨年12月にそこへ行っていたのですが、そのときはまだアレンジアルバムの企画も考えておらず、太田さんのことも存じ上げなかったので、せっかく生で聴ける機会があったのに意識していなかったことが、今思うと惜しいですね。

そのおりんについてもインタビューで伺ってみたところ、地元の産業を生かしたものと知って驚きました。とても興味深いインタビューですのでぜひご覧ください。




以下、メールインタビューの質問と回答です。

Q1.アルバムのリスナーへ向けて、簡単なプロフィールをご紹介ください。
雅楽の演奏家として笛・琵琶・舞を中心に活動しています。またSAXやギターなどを使って演劇やダンスなどの舞台音楽の制作もしています。

Q2.「天穂のサクナヒメ」のアレンジの話を受け、また実際の楽曲を聴いてどのような印象を持たれましたか。
「天穂のサクナヒメ」は、ネットニュースで見て面白いゲームだなと思っていましたので、アレンジのお話しをいただいたときは、まさか私に!と驚きました。
「祓」は雅楽的な雰囲気があり、これを雅楽の楽器で演奏するのはとてもやりがいがあると思いました。「朧」は尺八や筝曲のイメージでしたのでやや不安ではありましたが、おりんを使って幽玄な雰囲気が出ないかと大嶋さんからアドバイスをいただいて、とてもよい感じになりました。

Q3.アレンジで力を入れた点、リスナーにここを聴いてほしいという点はどのあたりでしょうか。
「祓」は、実際に雅楽の楽器で演奏しても全く無理がなく、しかも雅楽にはないメロディーの動きでとても新鮮でした。アレンジではさらに雅楽の様式や鞨鼓、筝といった雅楽の楽器を加えていきました。中間部のおりんのソロと、原曲と同じようで少し違うメロディーを吹いている篳篥に注目していただきたいです。
「朧」は、笛のゆらぎと低音のおりんの幻想的な雰囲気がとても気に入っています。また楽琵琶というちょっと珍しい楽器が入っています。個人的にとても好きな楽器なので、皆さんに楽しんでもらえると嬉しいです。

Q4.このアルバムで雅楽に初めて触れるというリスナーもいるかもしれません。そういった方に雅楽の魅力をどのように伝えたいですか。
雅楽の凛としていつつ、ふわっとした空気感に浸ってもらえたらうれしいです。

Q5.特に仏具の「おりん」を楽曲に取り入れているところが太田さんの個性と感じられますが、きっかけなどはありますか。
私の地元である富山県高岡市は銅器産業が盛んな土地で、仏壇や仏具の製造メーカーがたくさんあります。市内にある(株)山口久乗がドレミに調律した「おりんの楽器」を開発し、この「おりんの楽器」でJR高岡駅の発車メロディーを私が作曲したことがきっかけです。独特な音響と余韻で色んな雰囲気が出せるので、今では私の制作する音楽には欠かせない存在になっています。

Q6.告知や宣伝などありましたら、ご自由にお書きください。
4月20日(火)14:00~渋谷区大和田文化センター伝承ホールにて私も出演する雅楽の公演があります。19:00~録画配信もありますので、ご興味を持たれた方は是非ご来場、ご視聴ください。

博雅会定期公演 第40回東京公演 ~令和を寿ぐ~